Windows 11 でパスワード付き ZIP を作成する方法【無料・3ステップ】
「見積書は ZIP にパスワードを付けて送ってください」——仕事でよくある依頼ですが、Windows 11 の右クリックメニューをいくら探しても、パスワードを設定する項目は見つかりません。結論から言うと、Windows 11 の標準機能ではパスワード付き ZIP を作成できません。この記事では、その理由と、無料ソフト Karuzip で 3 ステップで作成する手順、そして ZipCrypto と AES-256 という 2 つの暗号化方式の違い・使い分けまで解説します。
Windows 11 の標準機能では、パスワード付き ZIP は作成できない
Windows 11 では、ファイルを右クリックして「ZIP ファイルに圧縮する」を選ぶだけで ZIP を作成できます(24H2 以降は 7z や TAR 形式の作成にも対応)。しかし、この圧縮機能にはパスワードを設定するオプションがありません。かつての Windows XP には圧縮フォルダーにパスワードを追加する機能がありましたが、その後のバージョンで廃止され、現在の Windows 10/11 には標準でパスワード付き ZIP を作成する手段がないのです(参考: prtn-blog の解説)。
「解凍」については事情が少し異なります。従来型(ZipCrypto)で暗号化された ZIP なら、エクスプローラーがパスワード入力を求めてくるので標準機能だけで開けます。一方、AES 暗号化された ZIP や、パスワード付きの RAR・7z は標準機能では開けません(参考: 窓の杜の記事)。標準機能で「できること・できないこと」の全体像は、別記事「Windows 11 標準の圧縮・解凍機能でできること/できないこと」にまとめています。
Karuzip なら 3 ステップでパスワードを設定できる
Karuzip は、日本のユーザー向けに開発された完全無料の解凍・圧縮ソフトです。広告・バンドルソフト・テレメトリ(利用状況の送信)は一切なく、圧縮エンジンには実績ある 7-Zip(LGPL、About 画面で帰属表示)を内蔵。インストーラは約 4.5MB と軽量で、Windows 10/11 に対応しています。ZIP にパスワードを設定する手順は次の 3 ステップです。
- ファイルを右クリックして「Karuzip で圧縮」を選ぶ
パスワードを付けたいファイルやフォルダを右クリックし、「Karuzip で圧縮」を選びます(Windows 11 では「その他のオプションを表示」の中に表示されます)。Karuzip を起動してウィンドウへドラッグ&ドロップしても同じ画面に進めます。 - 形式を選び、パスワードを入力する
「圧縮の設定」画面で形式(ZIP または 7z)を選び、「パスワードをかける」にチェックを入れます。表示されたパスワード欄に設定したいパスワードを入力し、確認欄にもう一度入力します。相手に送る一般的な用途なら ZIP、より強い暗号化が必要なら 7z を選びます(違いは次の章で解説)。 - 「圧縮する」を押す
あとは「圧縮する」ボタンを押すだけ。パスワード付きの圧縮ファイルが作成され、開く際には設定したパスワードが必要になります。
追加の設定や有料版の案内などは一切ありません。7z 形式を選んだ場合は AES-256 で暗号化され、ファイル名の一覧まで隠すことができます。
ZipCrypto と AES-256 — 2 つの暗号化方式の違い
パスワード付きの圧縮ファイルには、大きく分けて 2 つの暗号化方式があります。どちらを選ぶかで「安全性」と「相手の開きやすさ」が変わるため、違いを押さえておきましょう。
| 項目 | ZipCrypto(ZIP 形式) | AES-256(7z 形式) |
|---|---|---|
| 暗号強度 | 弱い(古い方式) | 強い(現在広く使われる方式) |
| Windows 標準で解凍 | 可能 | 不可(対応ソフトが必要) |
| ファイル名の暗号化 | 不可(一覧は見える) | 可能(ヘッダー暗号化) |
| 向いている用途 | 相手の環境が不明な社外への送付 | 機密性を優先したい保管・送付 |
ZipCrypto は ZIP に古くからある標準的な方式で、受け取った側が Windows のエクスプローラーだけで解凍できるのが最大の利点です。ただし設計が古く、解析ツールに対して強度が十分でないことが知られています。「誤送信したときに中身をすぐには見られないための封」程度と考えるのが現実的です。
AES-256 は現在広く使われている強力な暗号方式です。Karuzip では 7z 形式を選ぶと AES-256 で暗号化され、さらにヘッダー暗号化(7-Zip の -mhe オプション相当)によってファイル名の一覧まで隠せます。ZipCrypto の ZIP はパスワードを知らなくても「中にどんな名前のファイルが入っているか」までは見えてしまうため、ファイル名自体に取引先名などの情報が含まれる場合は 7z 形式が安心です。なお、AES-256 で暗号化した ZIP が Windows 標準の手段(エクスプローラー・PowerShell・tar)では解凍できないことは、当サイトの実測でも確認しています。
受け取る相手は解凍できる?——形式選びの実務アドバイス
パスワード付きファイルは「相手が開けるか」まで考えて形式を選ぶのがポイントです。
- 相手の環境が分からない・Windows 標準機能しか使っていない → ZipCrypto の ZIP を選びます。エクスプローラーのパスワード入力だけで解凍でき、追加ソフトを求めずに済みます。
- 相手も 7-Zip や Karuzip などの解凍ソフトを使える → AES-256 の 7z を選べば、強度とファイル名の秘匿を両立できます。
- パスワードはファイルと別の経路で伝える — 同じメールにパスワードを書くと、メールごと漏れた場合に意味がなくなります。電話やチャットなど別経路での伝達が基本です。
なお、Mac ユーザーとファイルをやり取りする場合は、パスワード以前に日本語ファイル名の文字化けにも注意が必要です。原因と対処は「ZIP 解凍で文字化けする原因と直し方」で詳しく解説しています(Karuzip は Mac 由来などの UTF-8 の ZIP に対応しています)。また、受け取る側としても Karuzip は暗号化された ZIP・7z・RAR の解凍に対応しています(RAR は解凍のみで、作成はできません)。
よくある質問
Q. Karuzip は本当に無料ですか?
完全無料です。広告表示、バンドルソフトの同梱、利用状況の収集(テレメトリ)はいずれも一切ありません。自動更新機能を内蔵しているため、常に最新版(現在 v1.0.3)を維持できます。
Q. インストール時に「Windows によって PC が保護されました」と表示されました
現在のインストーラはコード署名を行っていないため、Microsoft SmartScreen の警告が表示される場合があります。表示された場合は「詳細情報」→「実行」で続行できます。正規の配布元は karuzip.com と GitHub(AAAAAnson/karuzip)のみで、インストーラの SHA-256 ハッシュを公開しています。詳しくは「Karuzip の安全性について」をご覧ください。
まとめ
- Windows 11 の標準機能では、パスワード付き ZIP は作成できない(解凍は従来型 ZipCrypto の ZIP のみ可能)。
- 無料の Karuzip なら、右クリック→パスワード入力→実行の 3 ステップでパスワードを設定できる。
- 相手が Windows 標準機能だけなら ZIP(ZipCrypto)、強度重視なら 7z(AES-256・ファイル名も暗号化)を選ぶ。